フォアハンドストロークがイップスに陥りお悩みだったYさん
以前は違和感なく打てていたフォアハンドストロークが女子ダブルスの緩いボールを打つ事をきっかけにフォアハンドイップスに陥ってしまったYさんのイップス克服レッスンのビフォーアフターをご紹介します。
Yさんがイップスに陥った原因は?
Yさんからお問い合わせをいただいて、まずはイップスが出やすい状況について質問してみました。
戸村さま
ご連絡ありがとうございます。
今は少しマシになってきたかもしれませんが、また、いつくるかわかりません。
イップスになった原因?は、サークル対抗レベルのゲームで、普段避けている女子ダブルスで緩い球を相手してから振り切れなくなり、手首で調整するようになってしまいました。
自分でもなぜこんなに打てないんだ?別人のようになる理由がよくわからなかったのですが、考えてみると「初めての人たちと練習するとき」「試合の時」なのではないかと思います。
しかし、お送りした動画もオートテニスなので気持ちよく打っていますが、相手があるとヘッドをはしらすことができなくなることがあって、そのまま手首先行で下から上に振り上げてしまうことがあり、アウトすると調整しだしておかしくなるかと思います。
今回の動画ではそれほどでもないですが、ダメなときは、かなり球を落として低いところで打つので、これも注意されると打ち方がわからなくなります。
また、原因不明に球出しからおかしくなることもあります。
こんな日1日だめです。
で、人の動画を見すぎたり、考えながら打つともう、どうにもなりません。
仕事場のお手洗いや街中歩きながらでも素振り(ラケットなし)するほど悩んでしまうことがあります。
逆に、調子いい日は驚くほどいい球が打てるのですが、それもなぜなのかまったくわかりません。
正解が何なのかがわからないです。
レッスン前のYさん
では、まずはレッスン前のYさんの動画をご覧ください。
実はこの前に約1時間ほどのヒアリングを行っています。
その為にご本人曰く、「この時点で普段よりも良い状態に近かった」そうです。
ですが、それでも、スイング全体の流れが不安定で突然、手首が返り、ボールを捕らえられず、ラケットの動きとボールの動きがバラバラになっているのが分かります。
この時、本人は自分の身体が自分の意思に反して勝手に動いてしまうイップス特有の気持ち悪さを感じているはずです。
レッスン後のYさん
そして、こちらがレッスン受講後のYさんです。
わずか、1時間程のレッスンでかなり動きがスムーズになっているのがわかると思います。
何より、彼女の表情がレッスン前とは全く違います。
ボールへの集中力が高まったとても良い表情をしているのがわかります。
これは彼女自身がボールを打つ事に対して違和感や恐怖、不安を感じていない事の表われでもあります。
イップスは経験の無い人には想像が出来ないほどの不安や恐怖を感じます。
また、それ故に悪循環に陥りがちです。
ですが、イップスを抜けだすきっかけを掴むとYさんのように、ボールへの集中力が高まったとても落ち着いた表情になるのも特徴の一つです。
レッスン受講後のYさんの感想
では、レッスン受講後のYさんの感想をご紹介します。
お世話になっております。
本日はお忙しい中ありがとうございました。
まだ、興奮さめやらないです。
最初のヒアリングで時間をとってお話することで初対面であるのに信頼関係が成立したことが大変大きかったかと思います。
とくに私は、誰の話なら聞けるか、のようなところがあります。
最初は「なんでそんなこと聞くの?それが原因?ちがうんじゃない?」的な部分もあったのですが、話していくうちに理解できたし、終わった今、コーチに指摘されたのではなく、自分で気づいたことで腹落ちしています。
いろんなレッスンは受けてきましたが、簡単にはできないことが多く、しかも、やり方を教えてもらわないことが多かったが、今回は誰でもできる内容であったので半信半疑でしたが、結果がすぐに変わって、リピートすることで体感していくのがわかりました。
テニス以外でも、感覚的な教わり方が苦手で、ブレのない数値で現わしてほしいタイプなのですが、数値とまでは言わなくとも実践するために悩むことがない、やることが明らかであること、
できたかできないかが明らかであることが理解につながったのではないかと思います。
そして成功例が作れると、動物のごとく?頭をつかわず身体が反応するということで精神的に大変楽になりました。
大きな気づきは、テニスとはどんなスポーツか?ということの理解がきっちりできていなかったことです。
テニスは相手のいないところにボールを打つスポーツだと信じていたのですが、ボールをつなぐスポーツであること、知るべきは相手ではなく、ボールであったこと。
いままでいい時の原因、悪い時の原因がわからず、イップスになっても治し方がわからなかったのですが今回のレッスンで悪い時に気を付けることや、いまの自分はまだまだ波がある実力であることも理解できたので、波はあっても構わない、上達の過程で波が小さくなることを目標にしたいです。
とにかく精神的に楽になったことが、わたしにとってはイップスからの脱出のきっかけになると思います。
また、次回はレベルアップでお世話になりたいです。
Yさんのイップス克服レッスンで行った事
今回受講されたYさんのフォアハンドストロークのイップスは原因が非常に分かりやすかったケースです。
Yさんのイップスの原因
まず、Yさんのイップスの原因です。
彼女の場合、スイングエネルギーとボールが飛ぶ距離のイメージが乖離した事が原因です。
実は彼女は軟式テニスを経験しており、既に速く振りぬくスイングが癖ついていました。
ところが、ボールが緩い相手と打ち合う事で、ボールが飛びすぎてアウトする事に対して、スイング速度を調整する感覚を持ち合わせていませんでした。
その為に、頭で無理にスイングを遅くするように意識してボールを打ち始めました。
ところが、身体は既に速く振り切る癖がついています。
それが原因で頭で意識する事と筋肉活動のイメージが乖離してしまった事で身体が自分の意思に反して動くようになってしまったのです。
レッスン内容
1.ボールへの集中感覚
そこでまず、行ったのがボールへの集中感覚を知る事です。
頭と身体が乖離した状態を元に戻すのに一番大切な事は頭が身体に命令をする事を止める事です。
この状態は言い換えれば、ボールへの集中力が高まった状態です。
この状態になる為にはまず、ボールへの集中感覚を体験してもらいました。
2.飛んで行くボールの距離とスイングスピードの関係を感じる
次に必要だったのが、スイングの速度を調整し、ボールを飛ばす距離をコントロール感覚です。
この感覚を身につける為に、触覚に集中する練習をしました。
触覚に集中する事で、手のひらがインパクトに受ける衝撃の強さを感じる事が出来ます。
衝撃が強ければ、強いほど、ボールは遠くに飛びます。
逆に弱ければ、ボールの距離は短くなります。
そして、衝撃の強さはスイングの速度と関係しています。
その為に、触覚に集中し、衝撃の強さとボールが飛ぶ距離を感じていると段々、スイング速度を調整する感覚が分かってきます。
この感覚は現在の彼女が最も必要とする感覚です。
レッスン内容は以上の2点です。
Yさんのレッスン まとめ
ちなみに先ほどの動画はわずか1時間ほどレッスンした後の状態です。
この後、ボールに集中する感覚を磨く為にただ、ひたすらラリーを1時間ほど行いました。
その変化ぶりは彼女自身が一番驚いていました。
とにかく「怖い、怖い」「こんなはずはない、どうして?どうして?」を連発していました(笑)
自分でも驚くほど、気持ち良くボールが打てる事が信じられなかったようです。
イップスは特別な病気でも何でもありません。
条件が揃ってしまうと誰でも陥ってしまう物です。
ある意味、ただのスランプと言っても良い物です。
スランプは抜け出してしまうと、以前よりも1段も2段も上達する事が出来ます。
実はイップスも同じです。
適切な対処をすれば、イップスが消えて無くなるだけではなく、それまで以上に上達する事が可能です。
その為の壁のような物です。
ただ、対処を間違えると悪循環に陥ってしまいます。
そこは注意が必要です。
Yさんのその後
Yさんからその後の様子のお手紙をいただきました。
戸村さま
お久しぶりです。
イップス完治しました。
試合でも打てるようになりました。
ありがとうございます。
最初はボールをよく見るようにして、今は忘れがちですが調子わるくなるとソコに戻るようにしています。
大きな影響と自分で考えるには3か月に1回いいプレイができる私もガシャル私も私であり、いいプレイの頻度が低いのが自分のレベルだと認識できたことで、焦らなくなりました。
勝たなきゃいけないとか、ネットしちゃいけないとか、上手だと思われたいとか。
まずは、安定させることを目指して練習の時にはテーマを決めてミスもしながら振り返るようにしています。
また、機会がありましたらよろしくお願いいたします。