ある生徒さんにこんな質問をいただきました。
「ネットに出ると怖くてボレーが出来ないなんです・・」
「どうしたら良いですか?」
ちなみにこんな悩みをお持ちの方は少なくないです。
特に女性には多いと思います。
確かに、ネットに出ると距離が半分になります。
それだけこちらに飛んでくる時間は短くなりますし、素早い反応が必要になります。
反応が遅れれば「怖い」と思うのはとても自然な事です。
そこで今回はどうすれば、ボレーが怖くなくなるか?
その方法についてお話ししたいと思います。
ボレーを怖がる人はどんな人?
本当はボレー自体が怖い訳じゃないんです。
もし、ボレーが怖い物なら、大多数の人がボレーを怖がるはずです。
でも、そうじゃないんですね。
とは言う物の「ボレーが怖い」と言う方は少なくありません。
つまり、ボレーが怖いと言う方には何らかの理由があるんです。
この理由を知る事は悩みの解消に繋がります。
では「ボレーが怖い」って言う方はどんな方か?
ここから考えていきましょう。
実は私自身、いろんな生徒さんに実際に聞いてみたんです。
そうすると、はっきりと分かってきた事があります。
それは、「ボレーが怖い」と言う方はボールの動きが「見えていない」「分からない」と言う事なんです。
でも、考えてみたら、当たり前の事です。
私だって、時速200kmのボールをボレーするとなったら超怖いです。
反応が間に合わないと当たります。
そんな不安があれば、怖くなるのは当たり前の事です。
では、なぜ、反応が遅れてしまうか?
それはボールの動きに目が追い付かず、動きが分からなくなるからです。
つまり、どんな人でもボールが見えないと「怖い」と感じるってわけです。
ただ、ここで大切な事はボールを速さを感じるのは「人によって違う」と言う事です。
時速50㎞を怖いと思う人もいれば、思わない人もいます。
どうようにして、時速100㎞を怖いと思う人もいれば、思わない人もいます。
その感じ方は人それぞれです。
では、なぜ、人によって感じ方が違うのか?
これは才能や素質など持って生まれた違いなのか?
実はそうじゃないんです。
ここ、とっても大切なところなので、良く聞いてくださいね。
もし、生まれながらにして、スピードの感じ方が決まっているなら、もうどうしようもありません。
でも、実際はそうじゃありません。
実は同じ人でもその状態によって、体感速度は変わるんです。
つまり、同じ人が同じ速度のボールを見ても速く感じる時と遅く感じる時があるって事です。
では、それはどんな時に変わるのか?
それは頭の思考状態で変わるんです。
もう少し詳しく言えば。
「何も考えない集中状態(α波状態)では体感速度が遅くなる」
「何かを考えている意識分散状態(β波状態)では体感速度が速くなる」
って事なんです。
ちなみに私の場合、時速150㎞程度のボールなら、何も怖さを感じる事がありません。
ところが、頭の中で足し算をすると突然、怖さを感じるって事です。
実は人間は脳波がα波状態の時。
身体の感覚が鋭敏になります。
そして、反射速度が上がります。
この事は脳の研究で既に分かっています。
この事が分かると「ボレーが怖い」と言う方がどんな方なのか?
その答えが見えてきます。
実はボレーに恐怖を感じる方には大きく二つのケースが考えられます。
一つは。
「ボールの観方を知らないケース」
そして、もう一つは
「ボレーする事を意識しているケース」
この二つのケースです。
いずれの場合も、ボールの体感速度が速くなります。
ですから、本人は実際の速度以上に速さを感じています。
その為に、怖さを感じてしまうんです。
どんな時にボレーが怖くなる?
さて、先ほど、ボレーが怖いと言う方は「実際のボールの速度よりも速く感じている事」をお話ししました。
その事が分かると「どんな時にボレーが怖くなるか?」
その答えは簡単です。
「何かを考え、ボールに集中できていない時」
となります。
そして、その多くはボレーを意識している時です。
ここ、とても大切なところなのでよく聞いてくださいね。
普通、ボレーをする時には。
「どうやってボレーをするか?」
これを意識すると思います。
でも、実はこれをすると、身体の反応が遅れます。
そして、ボレーが怖くなる可能性が高くなります。
何故なら、ボレーを意識する事で頭の中はβ波状態になるからです。
この状態は五感の感受性を低下させ、身体の反応速度が遅くなります。
その為に、実際の速度以上に速さを感じてしまうんです。
つまり「ボレーをするのに、ボレーは意識しない」
こんな風に一見矛盾したような状態でないと素早くボレーする事は出来ないんです。
では、そんな事が可能なのか?
これは可能です。
と言うより、ボレーが上手な上級者はこの感覚を身に付けたから上達できたんです。
私自身もボレーをする時に特別何かを意識するわけじゃありません。
私はボールに集中して、打つのは身体の反応に任せています。
そうしないとボールが観えないし、分からないので、上手くボールを打つ事は出来ないです。
ですから、私はボールに集中するだけ。
ボールを打つのは「身体に任せている」って感じです。
ただ、厄介な事にこの事を知らないテニスコーチ、指導者の方は非常に多いです。
この事を知らないコーチに習うとボレーの打ち方を細かく指導されます。
そうすると、真面目な生徒さんほど、その通りにします。
すると、ボールが速く見えます。
さらに身体の反応が遅くなります。
その結果がボールに恐怖を感じる事になるんです。
なぜ、ボレーが怖いの?
では、次になぜ、ボレーが怖いのか?
その理由です。
最初にお話ししたように、本当はボレー自体が怖いショットと言うわけではありません。
にもかかわらず、ボレーに恐怖を感じる方は少なくありません。
これにはボレー特有の理由があります。
それは、ボレーに繊細な感覚が必要だからです。
その代表的な感覚を紹介します。
相手との距離が短い為
飛ばす距離が短い為
ノーバウンドでヒットする為
ボレーはこれらの繊細な感覚を求められます。
その為に、どうしても、色々考えすぎてしまいやすいのです。
大雑把でよければ、あまり考える必要もありません。
でも、ボレーはそうではない事が多いんです。
例えば。
「テークバックは大きく引かない」
「打点は前で」
「足を踏み込んで」
「グリップはフォアとバックは同じで」
・・・・・
こんな感じで非常にたくさんのアドバイスがあります。
これを聞いてしまうと、真面目な方ほど、いろいろ考えてしまいます。
これが「ボレーを怖い」と感じてしまう人が多い理由です。
どうすれば、ボレーは怖くなくなるの?
さて。
「どんな人がボレーを怖がるか?」
「どんな時にボレーが怖くなるか?」
「ボレーが怖くなる理由」
を順番にご説明してきました。
最後にどうすれば、ボレーが怖くなくなるか?
その対処法や改善方法についてお話しします。
と言っても、もう、答えは出ているんですけどね(笑)
答えは何も考えないで、ボールに集中するって事です。
ボレーの怖さを取り除くには、これが最も重要な事です。
逆に言えば、この感覚を身に付けないとボレーの怖さがなくなる事はありません。
ただ、これだけでは分かるにくいと思うのです。
練習していく、ステップを簡単に説明します。
この時大切な事は、ボールへの集中力を高める為に、ボールの回転やケバケバが観るようにする事。
そして、ボールをビデオテープに撮るように見続ける事。
しばらく、ボールを見送っているとだんだんボールの速さを感じなくなります。
そうしたら次に進みます。
ボレーの方法や、結果の事を気にせず、ただボールに集中してヒットします。
ここで最も大切な事は打ち方や結果を気にしない事です。
もちろん、打ち方に問題があるかもしれません。
そして、結果も上手くいかないかもしれません。
でも、気にする事はありません。
焦らず、2を続けます。
ここで大切な事はまず、ボレーの怖さを取り除く事です。
その為にはボールの速度に慣れる事です。
打ち方や結果が気になるとボールに集中できず、実際の速度以上にボールを速く感じてしまいます。
まずは、この状態を脱する事です。
2をしばらく続けているとだんだんボールの速度に慣れてきます。
そうしたら、徐々に自分の打ちたいボールやフォームをイメージします。
ただし、上手く打てなくなったら、また、ボールだけに集中するようにします。
以上がボレーの恐怖心を取り除く方法です。
何事にも正しい順番があります。
この順番を守って練習すれば、必ずボレーも上手になります。
焦らず、頑張ってくださいね。