テニスの試合はなぜ、緊張するのか?

「試合になると緊張してしまう・・・」
こんな悩みをお持ちの方は少なくありません。

 

練習の時なら出来る事でも試合となると話は別です。

 

実は私自身も試合ではとても緊張しやすいタイプでした。
どんなに格下だと分かっていても、1回戦はいつもビビりながら試合をしていました。
また、勝ちそうな場面からの逆転負けを食らった事も数知れず。

 

緊張すると、心臓が口からはみ出しそうになり、手足が震えて力が入りません。
喉はカラカラになり、視界は狭く、音も良く聞こえなくなります。

 

そんな状態で「普段と同じようにプレーしろ」と言うのは無理な事です。
何か根本的な事を改善する必要があります。

 

そうしなければ、試合ではいつまでも実力が発揮できなくなります。

 

では、なぜ、テニスの試合になると、このように緊張してしまうのか?
今日はその理由と対処法についてお話ししたいと思います。

テニスの試合で緊張してしまう理由

では、まず、なぜ、試合になると緊張してしまうのか?
その理由とメカニズムについてお話しします。

 

実は私自身が試合ではとても緊張するタイプであった事もあり、メンタルタフネスにはとても興味を持っていました。
ところが、色々調べて実践しても、中々効果がある方法を見つける事が出来なかったのです。

 

そんな時に出会ったのが大脳生理学です。
大脳生理学は見事に試合で緊張する理由と仕組みを教えてくれました。

 

その要点をこれからご紹介します。

緊張するのは実はとても良い事

一般的には試合で緊張し、プレッシャーを感じる原因は「精神的な弱さ」だと思われています。
また、精神的に弱い事はダメな事で、「精神的に強くならないといけない」と言われがちです。

 

でも、実はそんな物は本質的な原因ではありません。
緊張する事やプレッシャーを感じる事は悪い事ではなく、むしろ良い事です。

 

ちなみに、あなたは、過去、どんな場面で緊張したり、プレッシャーを感じたりしましたか?
どうしても勝ちたい試合だったり、何とか取りたりポイントの時だったりしませんでしたか?

 

思い出してみてください。
モチベーションが高く、やる気が高まっている時ではありませんでしたか?

 

少なくても私の場合はそうでした。
どうでも良い時に緊張する事はありませんでしたし、プレッシャーで動けなくなるような事もなかったです。

 

これは緊張やプレッシャーとモチベーションややる気は表裏一体だからです。
期待と不安が表裏一体なのと同じです。

 

実は人は期待すれば、するほど、不安も大きくなります。
未来はどうなるか、わかりません。
期待が大きくなれば、それだけ、手に入らなかった時の事が心配になります。
それが不安を呼び起こします。

 

ところが逆に期待が無ければ、その心配をする事もありません。
ですから、不安にもならないわけです。

 

つまり、期待と不安は表裏一体。
そして、緊張やプレッシャーとモチベーション、やる気も表裏一体と言うわけないのです。

 

さて、この事に気が付くと、緊張したり、プレッシャーを感じたりする事は決して悪い事ではない事が分かります。

 

試合で緊張しなくなるには、まず、この勘違いを解く事が必要です。
そうしなければ、無理に緊張を解こうとしてしまいます。

 

それは、モチベーションややる気の低下に繋がり、実はとても危険な事なのです。

本来は試合では誰もが緊張し、プレッシャーを感じる物

先ほどもお話ししたように、プレッシャーとやる気は表裏一体です。
これは脳の仕組みです。
特別な人だけに備わっている物ではありません。

 

ですから、本来は誰もが試合では少なからずプレッシャーを感じる物です。
なぜなら、やる気のない試合などほとんどないからです。

 

ところが、世の中にはプレッシャーを感じず、どんなに厳しい場面でも最高のパフォーマンスを発揮するプレーヤーがいます。
いわゆる「プレッシャーに強い」「精神的に強い」プレーヤーです。

 

ですが、彼らだけが特別な能力を備えているわけではありません。
基本的能力や仕組みは人間であれば、誰もが同じです。

 

ただ、彼らは、やる気が高まっても、緊張して、硬くならずにプレーするスキルを身に着けています。
それはやる気のエネルギーをパフォーマンスに変換するスキルと言っても良い物です。
その為に、彼らは追い込まれれば、追い込まれるほどレベルの高いパフォーマンスを発揮します。

 

「試合になると緊張する・・・」
「大事な場面ではプレッシャーに押しつぶされる・・・」

 

こんな悩みを持つ方はこのスキルを持っていません。
その方法やコツを知らないのです。

 

ですが、その方法を知れば、誰もが試合でも緊張せず、実力を発揮する事が可能です。
メンタルタフネスは精神力や性格の問題ではありません。

 

単なるスキルです。
ですから、トレーニング次第で誰でも手に入れる可能性を持っています。

やる気のエネルギーをパフォーマンスに変換するには?

一般的に「精神的に強い」「プレッシャーに強い」と言われるプレーヤーたちはやる気のエネルギーをパフォーマンスに変換するのが上手です。
その為に、大事な場面になれば、なるほど、普段以上のパフォーマンスを発揮します。

 

では、彼らはどんなスキルを使っているのか?
実は彼らはボールへ集中するのが上手なのです。

 

ちょっと、想像してみてください。
もし、あなたが大事な場面に遭遇したら?

 

その時、どんな事が気になりますか?
その先の結果が気になりませんか?

 

少なくても私はそうでした。
「失敗したらどうしよう」
「このポイントが取れなかったらどうしよう」
「これを落とすとまずい、絶対に取らないと」
「ここは何とか取りたい」

 

こんな感じです。

 

ですが、実はこれがまずいのです。

 

未来の事を気にしているこの事が、雑念となって、ボールに集中できなくなるからです。
ボールへの集中力が下がると、頭の中は雑念に支配されます。
この時、期待は不安に変わります。
そして、不安は緊張やプレッシャーを生み出します。

 

ところが、未来の事を気にせず、ボールに集中するとどうなるか?
「未来の事はどうなるか、わからない、とにかく、今やれる事に全力を尽くそう」
こんな風にプレーするわけです。

 

そうすると、何が起こると思いますか?

 

実は期待が消えてなくなります。
期待が無くなるとどうなるか?
当然、不安も消えます。

 

では、不安が消えるとどうなるか?
緊張やプレッシャーも消えてなくなるという事なのです。

 

これが「精神的に強い」「プレッシャーに強い」と言われているプレーヤーが使っているスキルです。
彼らは心や性格が強い訳ではありません。

 

ただ、未来の事を気にせず「今やれる事に全力を尽くす」のが上手なのです。
つまり、ボールだけに集中するという事です。

 

未来や過去の事を気にするとボールへの集中力が低下します。
そして、不安が増幅し、緊張やプレッシャーを生み出します。

 

今やれる事に全力を尽くし、ボールだけに集中します。
すると期待と不安が消え、やる気やモチベーションのエネルギーだけが残ります。
これが大事な場面で、最高のパフォーマンスを発揮する方法です。

 

未来の事を気にせず、「今やれる事に全力を尽くす事」
これは性格や精神力とは関係がありません。
だからこそ、メンタルタフネスは誰もが手に入れる可能性を持っているスキルと言えるわけです。

緊張をほぐすにはどうしたら良いのか?

テニスの試合になると「緊張してしまう」「プレッシャーに押しつぶされる」
その理由や仕組み、そして、大事な場面で最高のパフォーマンスを発揮する方法についてお話してきました。

 

とは言う物の、一朝一夕で簡単に身につくわけではありません。
頭では「今やれる事に全力を尽くせば良い」と分かっていても、「はい、そうですか」とすぐに出来れば誰も苦労しません。
ですから、もし、あなたがすぐに出来なくても気にしなくても大丈夫です。
私もそうでした。

 

ただ、だからこそ、そうなれるようにトレーニングする事はとても大切な事です。
トレーニングと言っても、簡単に言えば、「慣れ」です。
何度も繰り返していると、慣れて必ずそう出来るようになっていきます。

 

「今やれる事に全力を尽くす」
この事をひたすら繰り返せば、必ず、緊張せず、プレーが出来る時がやってきます。
それを信じて頑張ってほしいと思います。

 

ちなみにそれまでの間、注意してほしい事が一つあります。
それは、緊張やプレッシャーを感じた時にどうするか?
そのほぐし方です。

 

一番大切な事は緊張をほぐそうとしない事です。
また、プレッシャーに打克とうとしない事です。

 

緊張やプレッシャーは気にすれば、気にするほど、大きく増大します。
「緊張しないようにしよう」とすれば、するほど余計に緊張します。
「プレッシャーを感じないようにしよう」とすれば、するほど余計にプレッシャーを感じます。

 

これは意識が未来に飛んで、今に集中する事から逸れるからです。
その為に、余計に期待と不安が膨らんでしまうのです。

 

例えば、ある事を「忘れよう」と意識するとどうなりますか?
余計にその事を意識し、忘れる事が出来ませんよね。
これと同じですね。

 

では、自然に忘れるにはどうしたら良いか?
全く別の事を考える事です。
そうすれば、気付けば、その事を忘れています。

 

つまり、試合で緊張したり、プレッシャーを感じたら?
「それをほぐそうとしない事」それより「今やれる事に全力を尽くす」
こうすれば、結果的に緊張やプレッシャーを忘れてしまいます。

 

更にボールへの集中力を高める事が出来るので、やる気やモチベーションのエネルギーを上手くパフォーマンスに変換する事が出来ます。

 

一般的には緊張したり、プレッシャーを感じたりすると、それらをほぐそうとすると思います。
ですが、これはかえって逆効果になります。

 

あなたはこの常識に惑わされないでくださいね。

 

まずは、ゆっくり大きく深呼吸を繰り返してください。
そして、「今やれる事に全力を尽くす」
これだけに没頭してください。

 

そうすれば、だんだん、緊張もプレッシャーも気にならない世界に入る事が出来ます。
この時、周りで見ている人たちは「精神的に強いね」「プレッシャーに強いね」と感じます。

 

あなたにも、きっとそんな時がやってきます。
焦らず、がんばってくださいね。

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