テニスの調子の波
私はテニスコーチを始めた時にのもう一つの疑問は「どうして?テニスのプレーには調子が存在するのだろう?」と言う事でした。
あなたはテニスの調子を疑問に思いませんか?
「今日は調子が良いなぁ」と感じる事もあれば、逆に「今日は調子が悪いなぁ」と感じる事もあると思います。
実は、お恥ずかしい話ですが、私自身、現役時代、とても調子の波の激しい選手でした。
とても調子が良くて、格上の選手に勝つ事もあれば、次の日には「格下の選手に足元を掬われる」
こんな感じのとても波の大きな選手だったのです。
それだけにこの事には人一番興味がありました。
テニスは調子が良いと楽しみが増え、良いイメージが膨らみます。
そして、上達の速度が上がります。
ところが、テニスの調子の波が大きいとメンタル的にも不安定になり、悩みが増えます。
ただ、人間なので、調子があるのが当然と言えば、当然の事です。
ですが、それほど調子が気にならない事もあるのです。
例えば。
あなたは自転車に乗る時に調子が不安になるでしょうか?
朝起きたときに。
「今日は自転車に乗れるだろうか?」
「ミスしないように(こけないように)がんばらないと」
前の日には
「明日はサイクリングに行けるだろうか?」
「今から復習しておかないと」
こんな不安を感じる事があるでしょうか?
ほとんどの方はそんな事はないと思います。
ところがテニスはそうではありません。
「明日の試合、サーブは入るだろうか?」
「明日はちゃんとフォアハンドが打てるだろうか?」
「アウトばっかりしないだろうか?」
「自分ばかりミスをしたらどうしよう?」
こんな不安が一杯です。
どうして、これほどまでに違うのでしょう?
同じ運動でありながら、片や全くなんの心配もなく、片や心臓が飛び出るぐらいの緊張と不安で一杯です。
実は、この違いの一番の理由は調子の波の大きさの違いです。
自転車の調子の波は非常に小さく、それに対し、テニスの調子の波が大きい場合、このような違いが生まれます。
逆に言えば、テニスも調子の波が小さくなれば、メンタル的にも安定し、良いイメージが膨らみ、テニスの上達は加速させる事が出来るのです。
ちなみに大脳生理学はこのテニスの調子の波を解消するヒントも与えてくれました。
テニスは脳の仕組みに沿わない練習を繰り返すと調子の波が大きなプレーヤーになります。
逆に脳の仕組みに沿った練習を繰り返すと調子の波は小さい安定したプレーヤーになります。
一般的には技術的に高くなると調子の波は安定すると考えられています。
ですが、それは大きな勘違いです。
調子の波と技術の高さは直接は関係がありません。
初心者でも安定しているプレーヤーは安定しています。
逆に上級者でも不安定なプレーヤーは不安定です。
高い技術を追い求めても、安定するとは限らないのです。
これはテニスが上達するにはとても大切な事です。