浮かないキレの良いバックハンドスライスを打つには
スライスは守備のショットして効果的なだけではなく、汎用性、応用力に優れたショットです。
その為に一昔前はトップスピン一辺倒の選手が非常に多かったですが、最近はトップ選手の間でもスライスが非常に見直されています。
アマチュアプレーヤーにとってもスライスを身につける事はプレーの幅を広げるにはとても有効です。
ぜひ、身につけて欲しいと思います。
ですが、「スライスって難しい・・」
こんな風に感じる方は多いです。
そこで、ここではスライスが上手くなるコツと5つの間違いについて書いていきます。
そもそもなぜ、スライスの回転がかかるのか?
では、まず、5つの間違いの前に「そもそもなぜ、スライスがかかるのか?」
この原理原則についてお話しします。
この事を知らないと間違い、勘違いが5つにとどまらず、どんどん増えてしまいます。
まずはこの原理原則を知っておいてください。
ちなみにあなたは
「スライスはなぜ、かかるのですか?」
「どうすれば、スライスがかかりますか?」
こんな質問をされたらなんと答えるでしょう。
一般的には
「コンチネンタルグリップで打つから」
「ラケット面を少し上に向けるから」
「上から下に振るから」
「切るように振るから」
こんな答えが返ってきます。
ですが、これらは半分正しく、半分間違いです。
つまり、本質的な答えではないと言う事です。
これらは全て方法論の一つです。
ですから、「上手く出来る時もあれば、出来ない時もある」というわけです。
では、スライスがかかる本質は何か?
それは摩擦です。
インパクトの時に摩擦が生まれるからスライスがかかるのです。
摩擦が発生しなければ、スライスの回転は生まれません。
テニスのボールの回転はスライスであれ、トップスピンであれ、摩擦によって生まれます。
つまり、どんな打ち方をしても摩擦が発生すれば、スライスを打つ事が出来ます。
逆にどんなに正しい打ち方に見えても、摩擦が発生しなければスライスを打つ事は出来ません。
この事を知らないと勘違いが増えます。
いくら正しいと言われるグリップやスイングをしてもスライスはいつまでも打てないわけです。
まずはこの事を知っておいてください。
地球上でプレーする限り、テニスは物理です。
物理的条件が整わない限り、テニスが上達する事はありません。
テニスの上達とは「感覚を使い、物理的条件を再現する事」
いくら良く似た動きをしても、物理的条件が違えば、違う結果が出ます。
当然バックハンドスライスにも必要な物理的条件が存在します。
スライスが中々上達しない5つの間違い
では、続いてスライスが中々上達しない5つの間違いについて順番に紹介していきます。
1.正しいグリップやフォーム、打ち方を覚えようとしている
まず、一つ目の間違いは「正しいグリップ、フォーム、打ち方」を覚えようとするケースです。
一般的には正しい技術を覚えれば、スライスは上手く打てるようになると考えられています。
ですが、これは間違いです。
勘が良い方なら分かると思います。
正しいグリップ、フォーム、打ち方を練習しても、その努力に見合う上達はあったでしょうか?
少なくても、私が知る限りでは思うように上達出来ていない方が圧倒的に多いです。
確かに一般的には正しいグリップやフォーム、打ち方を覚えれば、上手くなると思われています。
ですが、グリップやフォーム、打ち方を練習してもスライスは上手くなれません。
こんな事を言えば、「え!そんなバカな!」と思う方が多いと思います。
一般的な常識とは違うので、そんな風に思うのはよく分かります。
ですが、実際にスライスが上達していく人は正しいグリップやフォーム、打ち方にこだわっていません。
では、どうしているのか?
「自分の感覚やフィーリングを大切にする」
これが正解です。
正しい技術はあくまでも机上の事であり、全ての人に完全に当てはまるような物ではないのです。
これを覚える練習をすると段々自分の感覚と乖離し、いつまでもボールをコントロールする事は出来ません。
そうではなく、自分の感覚やフィーリングを信じ、それに従い練習します。
すると、自分の身体に合った技術を身につける事が出来ます。
「感覚やフィーリングは曖昧な物または不確かな物」
と思うかもしれませんが、本当はそうではありません。
磨かれた人間の感覚程、正確な物はありません。
テニスの技術も感覚を磨く事で精度を上げる事が出来ます。
2.間違った集中
二つ目の間違いは集中感覚を間違っている事です。
集中して練習する事は何より大切な事です。
こんな話を聞くと「そんな事は分かってるよ」「自分は集中して練習しているよ」と思う方が多いと思います。
ですが、本当に正しい「集中感覚」で練習しているなら、グングン上達しているはずです。
残念ながら、そうでなければ、「間違った集中感覚」でプレーしている可能性が非常に高いです。
では、なぜ間違った集中感覚でプレーしてしまうのか?
もっとも多いのが集中する対象を間違っている事です。
先ほどもお話ししたように一般的にはフォームや打ち方が良くなれば、テニスは上達すると考えられています。
その為に、スライスが中々上達しない人はフォームや打ち方に集中して練習をします。
ですが、残念ながら、これが間違いです。
フォームや打ち方に集中してもスライスは打てるようにはなりません。
大切な事はボールに集中する事です。
ボールに集中する事で脳はボールと自分の身体を結び付けていきます。
例えば
「ボールとのタイミング」
「ボールとの距離感」
「インパクトの瞬間のラケットとボールの関係」
「身体の動きとボールとの関係」
・・・・・
言い出せば、キリがありませんが、スライスを打つ為に必要な情報はボールに集中しなければ、得る事が出来ません。
スライスのショットは自分の身体の動きとボールとの関係で成り立つショットです。
フォームや打ち方に集中してもボールとの関係に問題があれば、上達する事はありません。
3.肩の向きと打点、ラケット面の向きの関係
一般的にはスライスの打点は「右肩の横」
こんなアドバイスがされると思います。
ですが、このアドバイスを実践してスライスが上達しましたか?
ほとんどの方は難しいと思います。
確かにトップ選手たちの打点を分析すると多くの選手が右肩の横あたりでインパクトしている事が分かります。
ですが、これをこのままイメージしてもスライスは上手く打つのは難しいです。
理由はとても簡単です。
打点が良ければ、ボールが捕まえられるからではないからです。
ボールを捕まえる為には打点よりももっと重要な事があります。
それはラケット面の向きです。
打点が肩の横で打っていてもラケット面が外に向いていたらボールは外に逃げて捕まえる事が出来ません。
ですが、逆に打点の位置が多少、前後にズレていてもラケット面が正しい方向に向いていれば、ボールを捕まえる事が出来ます。
もちろん正しい打点で正しい面の向きなら、最高です。
ですが、打点が正しくてもラケット面が外に向いていたら致命的なミスになります。
ところが、逆に打点が多少ズレてもラケット面が正しい方向に向いていれば、威力や精度は下がりますが、致命的なミスにはなりません。
ちなみにスライスが中々上達しない人の多くは正しい向きよりも外側に向いてしまいます。
本来ラケット面は常にネットの方向に向かっている必要があります。
下記の画像を見ていただくと分かると思います。
これはフェデラーのスライスです。
注目して欲しいのは彼のラケット面の向きです。
良くご覧ください。
テークバックからインパクト、フォロースルーまで、常にラケットのフレームしか見えません。
つまりこれは、ラケット面が常にネットの方向を向いている事を表しています。
では、こちらをご覧ください。
フェデラーのラケット面と比べてみてください。
テークバックでラケット面がこちら側から見えています。
そして、その状態のまま、インパクト、フォロースルーに向かいます。
つまり、いつもラケット面が外を向いているわけです。
これでは、前から飛んで来るボールを捕まえる事は出来ません。
少し、タイミングがズレれば外に逃げます。
また、それを無理に捕まえようとすれば今度はボールが上の方に浮いてしまいます。
ですが彼のスイングが悪いわけではありません。
また、打点が大きくズレているわけでもありません。
ほんの少し、ラケット面の向きとスイングの角度が違うだけです。
スライスが中々上達しない人のほぼ全てがこのような状態になっています。
4.スイングの方向とボールが飛び出す角度の関係
次に多い間違いはスイングの方向とボールが飛び出す角度の問題です。
キレの良いスライスを打つ為にはスイングの方向とボールが飛び出す方向が全く違う必要があります。
なぜなら、ラケットスイングの方向とボールが飛び出す方向が同じになると摩擦が生まれず、フラットなボールになるからです。
スイングの方向とボールが飛び出す方向が違えば違うほど、ボールとラケット面の間には摩擦が生まれ、強烈なスライスがかかる事になります。
下記のフェデラーの画像をご覧ください。
これはインパクト直後の画像ですが、ボールが飛んで行く方向とラケットが向かっている方向が全く違う事が分かります。
その為に、キレと伸びのあるスライスが安定して打てるわけです。
ですが、スイングの方向とボールが飛び出す角度を変える事は簡単ではありません。
ボールを上手くコントロールしたいと思えば、思うほど、ラケットはボールを追いかけてしまう物です。
というよりも、ラケットスイングを狙った方向にスイングしてしまう物です。
狙っている方向とは違う方向にラケットを振りぬく事は心理的に大きな不安を伴い、ついつい、狙った方向に振ってしまうのです。
キレの良いスライスを身につける為にはこのイメージのギャップに気づく必要があります。
そして、大胆にスイングの方向を変える感覚を身につける必要があります。
5.飛んで来るボールの弾道とスイング角度の関係
5つ目の間違いは相手から飛んで来るボールの弾道とスイング覚悟の関係です。
一般的には正しいスイング角度を身につけようとします。
ですが、実はそれは間違いです。
ラケット面の向きは常に相手コートに向いている必要があります。
ですが、スイング角度は相手のボールの弾道によって、全く変わってしまうからです。
例えば、相手のボールが高く弾む場合、ボールを上から抑える必要がある為に、スイング角度は上から下に切るように振る必要があります。
ですが、打点が低い場合やボールがバウンドの頂点よりも下がり上から下に落下するタイミングで打つ場合はスイングの角度は上から下ではボールに勢いが無くなってしまいます。
その為にはスイング角度は水平に近い角度で振る必要があります。
いずれにしてもスイング角度は一定の角度で決まった物ではありません。
相手のボールによって、違う物です。
この事を勘違いして、理想的なスイングを覚えようとするといつまでもスライスは上達しません。
ラケット面の向きは安定して相手コートに向ける必要がありますが、スイング角度は同じではありません。
相手のボールに合わせて変える必要があるわけです。
まとめ
以上がスライスが中々上達しない人が陥っている大きな間違いの5つです。
中でも最も大きな間違いは一つ目の「正しいグリップやフォーム、打ち方を覚えようとしている」事です。
スライスが上達する人は自分の感覚を大切にしています。
正しい打ち方にこだわれば、こだわるほど、スライスは中々上手くなれません。
テニスが中々上達しないのはちょっとした間違いや勘違いです。
自分が躓いている間違いや勘違いが解消すれば、努力が空回りする事はありません。
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