フォアストロークのグリップでお悩みの方に

ここではフォアストロークのグリップでお悩みの方にお伝えしたい事を書いてみようと思います。
グリップはラケットと身体が接している唯一の部分です。
その為に、ボールを自在に操る為にはとても重要な物です。
それでは、順番にご説明していきます。

フォアストロークのグリップの種類と特徴

フォアストロークのグリップには大きく3つの種類があります。
・イースタングリップ
・セミウエスタングリップ
・ウエスタングリップ

 

グリップはスイング、打点とリンクするので、グリップによってスイングの仕方が決まります。
また、同様に打点もリンクするので、打ちやすい球種も決まります。
そういう意味ではグリップは非常に大切な物です。

 

では、簡単にそれぞれのグリップの握り方と特徴についてお話しします。

イースタングリップ

一般的に「薄いグリップ」と呼ばれるタイプに属する物でラケット面に掌を合わせて、そのままグリップの方まで滑らせてきます。
グリップ迄来たら、そのまま、握るとイースタングリップになります。
このグリップの長所は初心者の人でもラケット面が向いている方向が分かりやすい事です。
と言うのはラケット面と掌の向きが同じになるように握っているからです。
ただし、短所は打点を前に捕りにくく、トップスピンをかけるには適していない事です。
現代テニスではあまり使われないグリップと言えます。

セミウエスタングリップ

イースタングリップとウエスタングリップの中間にあたるグリップです。
親指と人差し指で出来るV字がグリップの斜めの部分に当たるように握ります。

 

このグリップの特徴はとても汎用性が高い事です。
様々な回転をかける事も出来ますし、高い打点から、低い打点迄対応できる事も出来ます。
さらに、ボールにエネルギーを加えやすく、現代テニスでは最もよく使われているグリップでもあります。

ウエスタングリップ

ラケットを地面に置いて、グリップの位置に掌を真上から乗せてそのまま握ります。
いわゆる「厚いグリップ」に属するグリップです。
このグリップの長所は自然とトップスピンがかかりやすい事です。
また、高い打点でも打ちやすいメリットもあります。
ただ、逆にフラットなボールやスライスを打つには適しておらず、ボレーのグリップとのギャップが大きくスライスが身に付きにくいというデメリットがあります。
また、ラケットヘッドが下がりやすいので、パワーロスするケースが多くなります。

どのグリップが優れているのか?

上記の3つがフォアストロークで使われる主なグリップです。
では、このグリップの中で最も優れているのはどのグリップか?
これを一概に決めるのは非常に難しい問題です。
と言うのは、グリップはスイングや打点とリンクしており、グリップ単体で考える事が出来ないからです。

 

人は皆、骨格や筋肉に特徴があります。
その為に、必然的に、自分に合った動きや握りが存在します。

 

より短時間で簡単にテニスが上達する為には優れたグリップを覚えるよう練習するよりも自分に合ったグリップを見つける方が得策です。
例え、どんなに優れていようと自分に合わなければ、テニスはとても難しくなります。

 

とは言う物の、出来れば、優れたグリップに近いグリップで自分に合う物を見つける方がより上達は早まります。
そういう意味で優れたグリップを選ぶとしたら、やはり「セミウエスタングリップ」になると私は考えています。

 

全てのショットに対応できる汎用性とボールの威力を持ち合わせているからです。
つまり、精度とパワーの両方を手に入れやすいグリップと言う事です。

 

一般的には強打するにはウエスタングリップが適していると考えられていますが、実はこれは非常に疑問です。
確かにウエスタングリップで握るとラケットヘッドが遅れるスイングがとてもしやすいです。
その為に容易にスイングスピードを上げる事が出来ます。
この特徴の為に、強打出来ると思われがちです。

 

ところが、その反面、ラケットヘッドが下がりやすく、パワーロスも非常に大きいです。
その為に、「スイングスピードは速いがボールに伸びが無い」
こんな状態になりがちです。

 

それに対して、セミウエスタングリップはラケットヘッドが無駄に下に落ちる事がありません。
その為に、作り出したエネルギーを効率よくボールに伝える事が出来ます。
さらにそれでいて、ボールに様々な回転をかける事も可能です。

 

実際、最近のトッププロ達はセミウエスタングリップに近いグリップで握っている選手が非常に多いです。
一昔前はウエスタングリップで強打していたプロ選手が非常に多かったのですが、最近の若い選手は段々と薄いグリップに移行しています。
これにはフェデラー、ナダルの影響が大きいと私は考えています。
テニス界のレジェンドであるこの二人は実は非常に薄いグリップ(セミウエスタングリップに近い)でプレーしています。

 

彼等は決して若いと言えない年齢でありながら、ボールのパワー、スピード、回転のキレ、どれをとっても未だに進化し続けています。
それには彼のグリップは大きな影響を与えていると思われます。

 

これらを考えると理論上はセミウエスタングリップが最も優れたグリップと言えるかもしれません。

優れたグリップ=自分に合ったグリップなのか?

先ほどは「セミウエスタングリップが最も優れたグリップだ」とお話ししました。
それとは矛盾するように思うかもしれませんが、必ずしもセミウエスタングリップでプレーする事が自分の上達に繋がるわけではありません。

 

世界のトッププロ達は段々とグリップがセミウエスタングリップに近い物に変わっている事は事実です。
ですが、ウエスタングリップに近いグリップでトップ選手に上り詰めている選手は数多くいます。
錦織選手やジョコビッチなどはその一番手です。
ですから、必ずしも、優れたグリップでプレーしなければ、上達しないと言うわけではありません。

 

やはり、一番大切な事は自分にあったブリップを見つける事です。
また、便宜上、グリップは3つに分けて紹介していますが、本当はこれらのグリップに境目はありません。
「イースタングリップに近いセミウエスタングリップ」
「ウエスタングリップに近いセミウエスタングリップ」
など、無数に存在します。

 

つまり、個人の感覚による物なので、例えば、セミウエスタングリップと言っても、全ての人が同じになる事はありません。
十人十色、全ての人が微妙に違うグリップでプレーするのが自然な状態と言えるでしょう。

 

そういう意味では、優れた持ち方や、正しい持ち方に拘らず、自分にとって、持ちやすいグリップでプレーする事がとても大切です。

自分に合ったグリップの見つけ方

先ほどもお話ししたように短時間で簡単に上達する為には優れたグリップを身につけるように練習するのではなく、自分に合ったグリップを見つける事がとても大切です。
グリップがしっくりすると身体とラケットとの間に自然に一体感が生まれます。
その為に、自分のイメージ通りにラケットを扱いやすくなります。

 

逆にどんなに優れたグリップで握ったとしても、自分に合っていなければ、ラケットと自分の身体に違和感が生まれ、テニスはとても難しくなります。

 

では、どうすれば、自分に合ったグリップを見つける事が出来るのか?
ここではその具体的な方法を紹介します。

 

とても簡単な方法なので、ぜひ、試してみてください。

 

・自然体で立ちます。
・ラケットでボールを地面に突きます。
ただし、下記の二つの条件を満たすように注意してください。

 

右肩の前から拳一つ分右横でボールを突く(右利きの場合)
膝から腰の間の高さでボールとコンタクトするようにする(特に高い位置でコンタクトしないように)

この二つの条件を満たしつつ、これがやり易い持ち方を探してみてください。
そうすると、自然とセミウエスタングリップに近い状態で自然と持っているはずです。

 

特に注意する事は、身体の横のほうでボールを突かない事です。
実際にやっていただくとすぐにわかりますが、身体の横になれば、なるほど、ウエスタングリップに近い持ち方に変わっていきます。
その為に、ラケットヘッドが落ちて、ボールを捕まえにくいグリップになりがちです。

 

ところが、右肩の前から拳一つ右でボールを突いているとラケットヘッドと胸が向いている方向が一致します。
この状態はラケットヘッドが下がらない状態を作っています。
それでいて、コンタクトする位置が膝から腰の高さであれば、薄くなりすぎる事はありません。
また、腕が伸びた状態でコンタクトする事で、インパクト時に肘が曲がらないストレートアームの感覚でグリップを握っている事になります。

グリップは覚える物ではなく、「やり易さ」から生まれる物

一般的には正しいグリップに握る事で、「ボールがコントロールしやすくなる」と考えられています。
ですが、これは大きな勘違いです。
正しいグリップで握っても、自分のイメージに合わないグリップではボールを操る事は非常に難しくなります。

 

例えば、グリップを変えるようにアドバイスされて、正しいグリップで握ると「ボールがどこに飛ぶか分からなくなった」
こんな経験はないでしょうか。

 

これは人間はグリップの正しさよりも感覚でボールをコントロールしている事を表しています。
その為に、短時間で簡単に上達する為には、プレーヤー自身が「やり易さ」を感じる事がとても大切になります。

 

ところが、「目標がなく、ただやり易い」または「間違ったイメージのままやり易い」のでは、フォアストロークに適したグリップにはなりません。
その為に、先ほどのようなドリルを実践する事がとても重要になります。

 

あのドリルを実践して見つけたグリップであれば、フォアストロークに必要な条件を満たしています。
さらに頭で考える必要がなく、感覚で見つける事が出来ます。
また、コーチがあれこれ、指導する必要もありません。
プレーヤー本人の感覚に任せていれば、本人が自然と自分に合ったグリップを見つけ出します。
そして、それは、他のプレーヤーとは微妙に違うけれども、自分にとっては、必要な条件を満たした「やり易いグリップ」と言う事になります。

 

フォアストロークのグリップでお悩みの方はぜひ、実践してみて欲しいと思います。

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