プレッシャーに弱くてお悩みの方に
テニスはメンタルスポーツと言われるほど、メンタルに大きく影響を受けるスポーツです。
技術的にいくら高くても、メンタルが不安定であれば、試合で実力を発揮する事は難しくなります。
ところが、試合前になると「不安で仕方ない」
または、試合中に「怖くて仕方がない」
こんな状態に陥ってしまう方は少なくありません。
今回は「試合前や試合中に不安や恐怖に襲われて、実力を発揮できない・・」と悩んでいる方にお伝えしたい事をまとめてみました。
もし、あなたも同じようにお悩みなら、ぜひ、参考にしてみてください。
そもそも、不安や恐怖は悪い事なのか?
試合前や、試合中に「不安になる」「怖くなる」こんな状態に陥る人は一般的には「メンタルが弱い」または「プレッシャーに弱い」と考えられています。
また、この状態に陥る事は悪い事であり、それを「改善する必要がある」とも考えられがちです。
ですが、そもそも、不安になったり怖くなったりする事は本当にメンタルが弱いのでしょうか?
また、それは本当に悪い事なのでしょうか?
まず、この常識を疑ってみる必要があります。
不安や恐怖に教われる方のほとんどが、この常識を疑う事なく、信じています。
その為に、「どうしたら、不安にならないようになるか?」「どうしたら、恐怖に打ち克つ事が出来るか?」ばかりを考えています。
ですが、まずはこの常識を疑ってみましょう。
「不安=悪」「恐怖=悪」と考える根拠は何でしょう?
なぜ、「不安=悪」「恐怖=悪」だと判断しているのでしょう?
確かに、一般的には「不安=悪」「恐怖=悪」だと考えられています。
そして、書籍やインターネット上では「不安を解消する方法」や「恐怖に打ち克つ方法」などが数多く紹介されています。
ですが、実際に実験や検証を行い、その根拠を見つけましたか?
多分、そんな事はしていない方がほとんどだと思います。
ただ、「試合で実力を発揮できない」という結果だけで判断しているのではないでしょうか?
つまり、ほとんどの方は「不安=悪」「恐怖=悪」であるという常識を「疑う事なく、信じてしまっている」わけです。
そして、「不安にならない為の方法」や「プレッシャーに打ち克つ方法」をただ、闇雲に努力しています。
ですが、少し立ち止まって、振り返ってみて欲しいのです。
それらの方法を実践してみて、その努力に見合う成果はありましたか?
不安を感じず、プレッシャーに強くなる事が出来たでしょうか?
少なくても、私の周りの生徒さん達に聞くと、成果を実感する人は皆無に等しかったです。
もちろん、努力を否定しているわけではありません。
ですが、努力しても結果が変わらないなら、実践している方法を疑ってみるべきだと思いませんか?
常識的な方法を実践しても、試合で実力を発揮する事は出来ないのではないか?
また、不安や恐怖、プレッシャーは「メンタルの弱さとは関係が無い」「悪い事ではない」のではないか?という事です。
私はそんな風に考え、いろいろな情報をかき集め、研究、検証を行いました。
そうすると、いろんな事が分かってきました。
不安や恐怖、プレッシャーは人間の本能である
まず、最初に分かった事は実は不安や恐怖、プレッシャーは人間の本能であるという事です。
人間には自己防衛本能が備わっています。
これは自身の身を危険から守る為に備えられた物です。
現代とは違い、人類の歴史では「出来るだけ早く危険を察知する」「危険には近寄らない」こういう能力が必要不可欠でした。
この本能のおかげで私達の祖先は数々の危険を乗り越えてきたのです。
もちろん、今の社会ではそこまでの危険は少ないかもしれません。
ですが、その本能は備わっているままです。
実はテニスの試合前や試合中に感じる不安や恐怖、プレッシャーはこの本能による反応なのです。
ですから、決して悪い物でもなければ、特定の人だけが感じる物でもありません。
誰にでも起こりえるとても自然な反応と言うわけです。
まずはこの事を知る事がとても大切です。
本能を変える事は出来ませんし、否定する事も出来ません。
そんな事をしても、結果は何も変わる事はありません。
これが常識的な方法では悩みが解決できない一番の理由です。
なぜ、不安や恐怖、プレッシャーは本能的な反応なのか?
では、なぜ、人は本能的に不安や恐怖、プレッシャーを感じるのか?
この事についてもお話ししておきましょう。
先ほどもお話ししたように自己防衛本能は危険から身を守る為の本能です。
その為に「危険かもしれない」と感じた時に、身体に恐怖やプレッシャーを与え、それ以上先に進ませないようにします。
無防備に先に進み、危険に晒されるのを防ぐためです。
では、どんな時に「危険かもしれない」と感じるか?
実は「先が見えない」「先が分からない」
こんな時に人間は不安を感じるように出来ています。
未来の出来事は「良い事」もあれば「悪い事」もあります。
その為に、この先どうなるか分からない状況になると人間は不安を感じるように出来ています。
そして、その不安がプレッシャーを感じる事に繋がります。
また、同時に過去に意識を向ける事もプレッシャーを感じる原因になります。
何故なら、過去に起こった出来事は必ずしも良い事ばかりではありません。
その為に、過去に起きた悪い事をイメージする事があります。
それを危険と感じプレッシャーを感じる事になるのです。
不安と期待は表裏一体
一般的には不安を大きく感じるとその不安を消し去ろうとします。
不安があれば、前に進めないと考えるからです。
ですが、実はそれは出来ません。
なぜなら、不安と期待は表裏一体の感情だからです。
なぜ、不安になるのか?
不安になる心理の裏側には期待が隠れています。
つまり、不安が大きいという事は同時に期待も大きいという事です。
例えば、何も期待しない事には不安は発生しません。
どうでも良い事には不安な感情も湧いてこないのです。
逆に期待が大きければ、同時に不安も必ず大きくなります。
つまり、「期待が大きいのに不安は全くない」このような状態は基本的にはあり得ないわけです。
にも関わらず、不安を消し去ろうとするとどうなるか?
これは無理に期待やモチベーションをさげるしかなくなります。
ですが、期待やモチベーションは高いパフォーマンスを発揮する為のエネルギーです。
エネルギーが低くなると当然、パフォーマンスのレベルは下がってしまいます。
ですから、良いプレーは出来なくなります。
逆に不安が大きい時ほど、実は良いプレーをするチャンスがあります。
何故なら、期待のエネルギーが大きいからです。
このエネルギーを上手くパフォーマンスに繋げる事が出来ると最高のパフォーマンスを発揮する事が出来ます。
ですから、実は「緊張して、不安で、プレッシャーでガチガチになる」
こんな時ほど、良い試合ができる可能性が高いのです。
ただし、「期待のエネルギーを上手く使う事が出来れば」という条件は付きますが。
では、どうすれば、期待のエネルギーをプレーに繋げる事が出来るか?
次はその方法についてお話しします。
どうすれば、不安や恐怖、プレッシャーに対応できるのか?
先ほどもお話したように不安と期待は表裏一体です。
ですから、不安を取り除く事は出来ませんし、また、してはいけません。
不安や恐怖、プレッシャーは感じたまま、前に進む事。
これがもっとも大切な事です。
とても大切な事なので、もう一度言います。
不安や恐怖、プレッシャーは取り除いてはいけません。
そのまま、試合に臨む事です。
ただし、このままでは身体はガチガチのままで高いパフォーマンスは期待できません。
そこで、必要なのが期待やモチベーションのエネルギーをボールへの集中力に変換する事です。
ボールへの集中力を高めるにはエネルギーが必要です。
期待のエネルギーをそのエネルギーに使います。
ボールへの集中力が高まると、身体はプレッシャーから解放され、自由に動き始めます。
さらにそれだけではなく、潜在的なイメージに従い自動的に動いてくれます。
いわゆる「ゾーン」と呼ばれる状態に近づいていきます。
先ほどもお話ししたように、不安や恐怖、プレッシャーを感じている状態は未来や過去に意識が集中しています。
その為に、自己防衛本能が働いています。
ですが、意識が現在進行形に集中する事が出来ると、自己防衛本能からは解放されます。
つまりプレッシャーを感じる事無く、のびのびとプレーが出来るという事です。
その為には何も考えず、ボールだけに集中する事です。
そうする事で意識を現在進行形に向ける事が出来ます。
これが不安や恐怖、プレッシャーを感じないでプレーする唯一の方法です。
なぜ、一流選手はプレッシャーに強いのか?
一流の選手は皆、プレッシャーに強いという共通の傾向を持っています。
ではなぜ、彼等はどんな時でもプレッシャーに負ける事なく実力を発揮する事が出来るのか?
彼等も人間である限り自己防衛本能を備えている事は同じです。
ですから、プレッシャー感じ、動けなくなる可能性を持っています。
ですが、彼等はプレッシャーに打ち克つ力を持っているのではなく、プレッシャーを感じない状態に入る術を知っているのです。
この二つは全く別の物です。
片一方はプレッシャーを感じているが、それに打ち克つ力。
もう片方はプレッシャー自体を感じない状態に入る力。
一流選手は後者の力を身につけています。
これが彼らがプレッシャーに強い理由です。
ちなみにプレッシャーを感じない状態に入る条件はボールへの集中力を高める事です。
ボールへの集中力を高める事で誰もがプレッシャーを感じない状態に入る可能性を持っています。
つまり、トレーニング次第では誰もがプレッシャーに強くなる事は可能という事です。
試合前や試合中に不安や恐怖、プレッシャーに襲われると言う方はぜひ、参考にしてみてください。
そして、ボールへの集中力を高める練習を繰り返してください。
一般的な方法では感じる事が出来なかった成果を感じる事が出来ると思います。