視点を変える
今回の課題は「視点を変える」です。
テニスに限らず、どんな事でも進化する過程においては、幾度となく、発想の転換が求められます。
正しい考え、正しい情報があれば、目的地に辿り着けるわけではありません。
例えば、山の頂上を目指そうとする時、その道筋は無数に存在します。
必ずしも、同じ道を登り続ける事が効果的とは限りません。
その時の状況に応じ、道を変える方がより安全に、より早く登頂出来ます。
これは物事に対処する時も同じです。
どんなに正しい考えや情報を持っていても、同じ筋道から推察していると必ず壁にぶち当たる物です。
その時に必要となるのが、発想の転換です。
発想を変える事で、今までとは全く違う側面が見えてきます。
そして、その側面が壁を突破するヒントになります。
山頂を目指していた登山道が突然、断崖絶壁になったら、迂回して、これまでとは全く別の道を登り始めるのと同じです。
断崖絶壁を前にして、この壁を攻略する事に頭を捻るよりは、全く別の道で山頂を目指す方が良い事も多々あります。
発想の転換とはそのような物です。
発想を転換する事で、今までの悩みが嘘のように簡単に解決する事は少なくありません。
とは言う物の「発想を変えましょう」と言われて「ハイ、そうします!」と簡単に出来る物でもありません。
自分では発想を変えたくでも、違う発想が中々出てこない事は少なくありません。
発想を転換するにはそれに必要な条件のような物が存在するのです。
その一つが視点です。
人の発想や思考はイメージの繋がりです。
イメージは見る物、聞く物によって大きく変わります。
例えば。
太陽を見れば「丸い物」「暖かさ」「光」・・・・
こういう物をイメージするでしょう。
では、月の場合はどうでしょう?
同じ丸い天体でも、太陽の時は全く違う物をイメージすると思います。
これは、人は見る物、聞く物が変われば、自然とイメージが変わると言う事を示しています。
と言う事はイメージが変われば、その繋がりである思考も自然と変わる、つまり、発想が転換する可能性が高まると言うわけです。
視点を変えれば、発想の転換が起こりやすくなる理由はその為です。
そこで、今回のトレーニングは視点を変える事を課題にしたいと思います。
日頃から、「視点を変える」「視点を広げる」柔らかさを持っていれば、発想も柔らかく広がるようになるからです。
さて、では、視点とはそもそも何でしょう?
その意味を調べると、下記のように定義されています。
「1.視線の注がれるところ。2.物事を見たり考えたりする立場。観点。」
と言う事で、今回はこの二つを変える事が具体的トレーニングとなります。
ちなみに、この二つはいずれも、自分の興味が非常に大きな鍵となります。
人は興味ある物を見聞きし、興味ある事を考えるからです。
つまり、「視点を変える」とは言い換えれば「興味の対象を変える」とも言えるわけです。
興味を対象が変わるからこそ、得る情報が変わり、それが発想の転換に繋がるわけですね。
逆に言えば、興味の対象が変わらなければ、情報が変わらず、違う道筋に気付く事が出来ません。
それでは、発想の転換は中々起こらないという事ですね。
・トレーニング方法
では、「視点を変える」為の具体的なトレーニング方法についてお話しします。
ポイントは二つです。
1.日常の体験を変える
2.立場を変える
1.日常の体験を変える
先ほどもお話したように基本的に人の視覚、聴覚などの感覚は興味を持っている物から情報をキャッチします。
その為に、見聞きする物にはほとんどの場合、固有の傾向が生まれます。
この傾向が強くなれば、なるほど、同じ系統の物に興味を示す事になります。
今回のトレーニングではこの傾向をあえて崩すようにします。
つまり、普段は興味を示さないような物を意識して見聞きするようにします。
例えば、テレビの番組、書籍、音楽など、いつもの自分の趣味とは違う物を見聞きするよう興味の範囲を広げる努力をしましょう。
もしかしたら、その内容は自分の趣味に合わない物で、退屈な物になる可能性はあります。
ですが、今回のトレーニングで大切な事は「自分にとって有益だった」と感じる事ではありません。
今まで興味を示す事がなかった物事を手にする事です。
それが視点を変える事に繋がるからです。
その中には思いがけず、素晴らしい体験をする事も少なからずある事でしょう。
2.立場を変える
先ほどのトレーニングはこれまでとは違う物事に興味を移す事が目的でしたが、こちらはそれとは全く違うトレーニングです。
こちらは自分自身の立ち位置を変えるトレーニングです。
見聞きする物を変える事でも、これまでとは全く違う情報をキャッチする事が出来ますが、自分の立場が変われば、同じ物を見聞きしても、それまでとは全く違う情報をキャッチする事が出来ます。
例えば。
山の麓から町を見る景色。
山の山頂から町を見る景色。
同じ物を観ても、全く違う物が見える事は容易に想像できると思います。
つまり、物事の側面は立場や状況によって、全く違う物が見える物です。
「どちらが正しく、どちらが間違っている」と言う物ではありません。
全く別の物が見えたとしても、それらは「どちらも正しい」と言う事になります。
この違いを見る為には想像力が必要になる事が少なくありません。
なぜなら、自分が同じ立場になり、実際に経験する事が出来ない事が多々あるからです。
例えば
テニスの試合では相手の立場になって、相手をイメージする事はとても重要な事です。
相手の事が分かれば、それに適切に対応する事が出来るからです。
ところが、実際には自分は相手になる事は不可能です。
その為に、想像の世界で相手の立場になる以外方法はありません。
そこで必要になるのが想像力という事です。
「立場を変える」とはこの想像力を鍛えるトレーニングとも言える物です。
今回のトレーニングのポイントはこの二つです。