メンタルトレーニング講座 鈍感力
鈍感力とは?
今回の課題は「鈍感力」です。
鈍感と言えばネガティブなイメージが湧くかもしれません。
でも、実はとても大切な事です。
逆に敏感が必ずしも、良い訳ではありません。
まずは鈍感力の意味からご説明していきます。
「鈍感」と調べると。
感じ方がにぶいこと。
気がきかないこと。
また、そのさま。
と出てきます。
一見するとメリットが無いように思われます。
ですが、まさにこの状態が必要な時があります。
それは、どんな時か?
それは、自分では「どうしようも無い時」です。
自分で何かを変える事が出来るなら、努力する事はとても大切な事です。
その努力によって、より良い方向に進む事が出来ます。
ところが、自分ではどうしようもない時はどうでしょう?
ジタバタしても何も変えれないわけです。
冷静に考えると、その時の労力は全くの無駄になる事が分かります。
それどころか、不効率な努力は全体のバランスを崩す弊害になります。
「変えれない時」にエネルギーを使う事で「変えれる時」のエネルギーが減ってしまうのなら。
これこそが弊害です。
では、このバランスを整えるにはどうしたら良いか?
自分では「何も変えれない時」にはエネルギーを0にする
逆に「変える可能性のある時」にエネルギーを100%使う
こうする事で、限られたエネルギーを上手く使う事が出来ます。
では、必要のない時にエネルギーを0にするにはどうすれば良いか?
ここで必要になるのが「鈍感力」です。
人は何かを感じると必ず何らかの反応を起こします。
この反応自体にエネルギーを要します。
と言うより、反応だけして、対応が出来ないのなら
むしろ、その方が大きなエネルギーが必要かもしれません。
例えば。
遠く離れた大事な人が病気になってしまったとしましょう。
けれども、あまりにも遠くで自分に出来る事は何もないとします。
こんな時は気をもむしか出来ません。
ところが、こんな時ほど、心のエネルギーを大きく消費します。
まだ、近くで看病する方が、心のエネルギーを使う事はありません。
なぜなら、集中して看病する事が出来るからです。
つまり、自分ではどうしようもない時ほど
雑念が大きくなり、集中する事が出来ません。
その為に心のエネルギーを大きく浪費してしまうのです。
メンタルタフネスを高める為にはこの状態を避ける必要があります。
メンタルタフネスの源は心のエネルギーです。
心のエネルギーをいつも満たされた状態にする事はメンタルトレーニングを成功させる大きな鍵の一つです。
さて、話を元に戻し、結論をお話します。
鈍感力が必要な時。
それは、過去と未来に対してです。
過去は頑張っても、変えようがありません。
どれだけ、反省しようと、後悔しようと、過ぎてしまった時間を戻す事が出来ません。
また、未来も同様です。
未来は何が起こるか分かりません。
自分に都合の良い事ばかりが起こる事はありません。
つまり、自分の努力だけではどうしようもない物です。
そう考えると過去と未来には出来るだけ心のエネルギーを使わない事
これが大切になります。
簡単に言えば
「終わった事を気にしない」
「先の事を心配しない」
という事です。
ところが「終わった事を気にするな」と言われても気になる物は気になります。
また「先の心配はするな」と言われても心配な物は心配です。
そこで、必要なのが鈍感力です。
終わった事に鈍感になれるか?
先の事に鈍感になれるか?
今回はこの二つをトレーニングしていきます。
鈍感力の効果
鈍感の反対は敏感です。
敏感と調べるとこう書かれています。
感覚や感度の鋭いこと。
また、そのさま。
鈍感同様、この状態が必要な時もあります。
それはまさに「今」または「現在」です。
未来は今が作ります。
そして、それは過去へと繋がります。
現在、過去、未来のうち、現在だけは自分で何かを変える可能性があります。
その為に、エネルギーを全て現在に集中させます。
これが結果的に過去や未来を変える事になります。
ところが、過去や未来に対しての鈍感力を持ち合わせていなければどうなるか?
「変える事が出来ない時や物」にエネルギーを使ってしまいます。
その結果、本来必要な「現在」へのエネルギーが低下する事になります。
こう考えると実は鈍感力と敏感力は表裏一体である事が分かります。
つまり、過去や未来に対しての鈍感力を磨く事は現在に対する集中力を上げる事になるのです。
トレーニングの方法
では、具体的なトレーニングの方法をご紹介します。
ポイントは二つです。
1.過去、未来に対して鈍感になる
目指すべき状態は過去、未来に対して鈍感になった状態です。
「終わった事や先の事は気にならない」
こんな状態です。
例え、ポジティブな未来を望むものであったとしても、期待したからと言って、それが起こるわけではありません。
現在への集中力の妨げになる事には変わりありません。
とは言う物の、「気にしない」ようにしても、簡単に出来るわけではありません。
思い通りに自分を操れなくても気にする事はありません。
ただし、「終わった事を気にしている」「未来の事を心配している」
そんな自分にまずは気付いてください。
自分の事は自分では中々気付かない物です。
気付かないうちに「終わった事を考えている」
または、気付かないうちに「先の事を心配している」
こんな事がほとんどなのです。
まずはそんな自分に気付く事。
ここから始めます。
2.過去や未来に価値は無い事を思い出す
自分が過去や未来の事を意識している事に気付いたら、それを止めようとする必要はありません。
ただし、過去や未来に敏感に反応している事は事実です。
ですが、それらは本来、意識するべき価値がある物ではありません。
過去や未来に価値はないのです。
だから、鈍感でも構わないのです。
それを思い出してください。
それらを意識すれば、するほど、敏感になり、頭や心はそれらで支配されてしまいます。
確かにそれらが気になる事は事実です。
でも、もっと鈍感になっても何も問題はありません。
何故なら、価値が無いからです。
価値があるのは「今」です。
これこそが過去や未来を変えていく最も価値が高い物です。
この事を思い出してください。
そうすれば、段々と過去や未来は意識の外へ追いやられていきます。
過去や未来を意識している限りはいつも頭や心の中はそれらで支配されます。
ところが「今」で支配してしまえば、結果的に過去や未来は居なくなると言うわけです。
テニスの練習時のトレーニング
テニスの練習時も基本的に全く同じです。
1.過去、未来に対して鈍感になる
2.過去や未来に価値は無い事を思い出す
これが課題です。
ただし、テニスの時はとてもシンプルです。
過去の事
・ポイントを取った、取られた
・コントロールが良かった、悪かった
・ミスをした、しなかった
・打ち方が良かった、悪かった
・・・・・・
未来の事
・勝つか、負けるか?
・出来るか、出来ないか?
・こんなイメージで打とう
・あっちを狙おう
・・・・・
これらは全て過去、または未来です。
プレー中、これらを意識している事にまずは気付いてください。
気付いたら、それらに価値が無い事を思い出してください。
それらで頭や心が支配されている限りは価値の無い物に支配される事になります。
最も価値がある事は「今」です。
テニスの場合、「今」とは「ボールに集中する」事です。
これしかありません。
そういう意味でテニスの練習はとてもシンプルです。
ただし、モチベーションが高いので雑念が湧きやすいのは間違いないでしょう。
その分、雑念に支配されている事に気付きにくいとも言えます。
これが今回のトレーニングです。
これから30日間、この事に取り組んでいきましょう。