集中力を鍛える
今回のテーマは「集中力」です。
ちなみに、このメンタルトレーニングの一番初めにご紹介したのも集中力でした。
1週回って元に戻ってきたような物ですね(笑)
と言うのはメンタルトレーニングで最も重要な事は「継続」だからです。
日々、繰り返し、習慣にする以外にメンタルタフネスを身につける方法はありません。
そういう意味では、これまでご紹介してきた様々な力を日常の生活で磨き続ける習慣を持つ事がとても大切になります。
中でも、メンタルタフネスに直結するのが集中力です。
そこで、今回は再度、集中力をテーマにし、更に掘り下げていきたいと思います。
まず、最初にメンタルタフネスと集中力の関係について今一度、ご説明しておきます。
とても重要な事なので、肚に落ちるまでしっかりと理解してほしいと思います。
人はなぜ、プレッシャーを感じるのか?
プレッシャーは自己防衛本能から起こる反応の一つでとても自然な物です。
自己防衛本能が働くと、どんな人間であっても、心臓の鼓動が早まり、呼吸は浅くなります。
そして、身体に力が入り、スムーズに動けなくなります。
このような反応はどんな人間にも起こるとても当たり前の事です。
ところが、世の中にはピンチになっても、そんな反応を見せずに普段と同じように、いや、むしろ普段以上の力を発揮する人がいます。
いわゆる「プレッシャーに強い人」です。
では、なぜ、この人たちはプレッシャーに強いのか?
実は彼等はプレッシャーに打克っているのではありません。
ただ、プレッシャーを感じない状態に入っているだけなのです。
つまり、事項防衛本能が働かない状態に入っていると言う事です。
そして、この状態こそが「集中状態」です。
人は思考ではなく、感覚の世界に没頭する事で自己防衛本能から解放されるようになります。
この時、プレッシャーを感じる事が無くなります。
そして、更に集中力が高まるといわゆる「ゾーン状態」「フロー状態」に入る事が出来ます。
この状態に入る事が出来ると、「自分ではないもう一人の自分」がプレーしているような錯覚に陥ります。
この「もう一人の自分」は往々にして、普段以上の最高のパフォーマンスを発揮してくれます。
テニスに置いて、必要なメンタルトレーニングはこの状態に入る事を目指す事です。
けっして、プレッシャーと闘うトレーニングではないので、気を付けてください。
さて、何度も、お話ししますが、プレッシャーから逃れる唯一の方法が集中力を高める事です。
その為に、集中力を高め、磨く事がメンタルタフネスを身につける最も効果的なトレーニングとなるわけです。
集中力が無い?
集中力の話をすると、よく「私は集中力が無いから・・」と言う方がおられます。
このような方は、ご自分は「集中力が乏しい」と思われているようです。
ですが、それは大きな勘違いです。
人は皆、誰もが必ず集中力を備えています。
ですから、何も心配する必要はありません。
ただ、そういう方達は集中力について勘違いしている方が非常に多いです。
この勘違いを解く事が出来れば、急激に世界が変わり始めます。
では、どんな勘違いをしているのか?
例えば、「力」と聞けば、筋力のような物をイメージする方が多いと思います。
ですが、実は集中力はそのような物とは全く違います。
ちなみに集中状態と相反する状態は「思考状態」です。
「集中状態」(何も考えていない状態)⇔「思考状態」(何かを考えている状態)
もっと、極端に言えば。
「ボーっとしている状態」⇔「いろいろ努力している状態」
つまり、集中力とは「ボーっとする力」という事になります。
「ボーっとする力」と聞くと一般的にイメージされる「力」とはちょっと違うような気がしませんか?
ここを勘違いしている方が非常に多いのです。
一般的にトレーニングと聞くと「努力」と言うイメージを持たれる方が多いと思います。
ですが、集中力トレーニングに努力は必要ありません。
と言うより、むしろ、努力すれば、するほど、集中状態とは相反する状態になります。
大切な事はリラックスし、何も努力せず、自分を解放する事です。
そうすれば、結果的に頭は思考を止めて、感覚が鋭敏になります。
この状態に入る事が集中力トレーニングのポイントになります。
では、ボーっとプレーすれば、テニスは強くなれるのか?
先ほどもお話ししたように集中力を高める為にはボーっとする事が必要です。
ですが、ここで一つの疑問が湧いてきます。
「ボーっとプレーすれば、テニスは強くなれるのか?」と言う事です。
結論を言うと「ボーっとする」だけではいけません。
ボーっとした状態はあくまでも集中状態に入る為の入り口であり、これだけではテニスのパフォーマンスを上げる事は難しいです。
テニスのパフォーマンスを上げるには集中力を使う方向を指し示す必要があります。
それが注意力です。
簡単に言えば、興味と言っても良いかもしれません。
例えば。
休日に、のんびりソファに座って、リラックスしているとします。
何も考える事がなく、まさにボーっとしている状態です。
この時、どこからか、自分の大好きな楽曲が流れてきました。
何かを考えるわけでもなく、自然と、耳を澄まし、その音色に心を奪われます。
この時、特に意識する事や努力はありません。
ただ、ボーっとして楽曲に興味を持っているだけです。
この状態こそが集中状態です。
それでは、これをテニスに置き換えてみましょう。
テニスの場合は好きな楽曲の代わりにテニスボールに興味を持つ事です。
そして、テニスボールに心を奪われてください。
そうすると、身体の全ての感覚はボールに対してアンテナを張り巡らせます。
その結果、身体は最高のパフォーマンスを発揮します。
これがテニスに必要な集中力です。
さて、今一度、この事を理解して、今回のテーマである「集中力」のトレーニングに取り組んでみてください。
決して、筋力トレーニングのような努力は必要がないので、注意してくださいね。
トレーニング方法
「限られた短い時間でも意図的にボーっとする」
これが今回のトレーニングです。
その為に、毎日、最低3~5分程度、ボーっとする時間を作るようにしましょう。
ボーっとする事は実は口で言うほど簡単ではありません。
何かの刺激や気になる事があると、ついつい色々と考えてしまう物です。
詳細な課題は今後のメールでご紹介していきますが、ボーっとする瞬間が欲しい時に意図的にボーっとする事が今回のトレーニングの目的である事を覚えておいてください。